坐骨神経痛④
坐骨神経痛に似た症状を引き起こす疾患には、整形外科疾患のほかに、血流障害によるものなどがあります。
整形外科疾患で主なものは、「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」「仙腸関節障害」「椎間関節障害」「殿皮神経障害(でんぴしんけいしょうがい)」などです。
まず、梨状筋症候群は、おしりにある梨状筋が、坐骨神経を刺激することで起こります。
おしりから、下肢にかけて痛みとしびれがあり、座っているときや、膝を内側に向けた内股の姿勢で、症状が強くなるのが特徴です。
梨状筋は、おしりの後ろ側から出て、大腿骨につながる筋肉です。坐骨神経は、梨状筋がつくるトンネルを通っているため、梨状筋の柔軟性が失われて固くなると、坐骨神経を締め付けてしまいます。
ストレッチやマッサージが有効ですが、重症の場合には神経ブロック治療や、神経を筋肉からはがす手術を行うことがあります。
次に、仙腸関節障害は、仙骨と骨盤の間の継ぎ目にあたる仙腸関節が、ずれたりゆがんだりすることが原因とされ、腰痛、臀部痛、下肢痛が起こります。
仙腸関節は、骨盤内の仙骨と腸骨でつくられる関節です。数ミリ程度しか動きませんが、建物の免震ダンバーのような働きをしています。ここにずれが生じると、腰痛や臀部痛などがあらわれます。神経ブロック治療のほか、重症の場合は米国で開発された固定術を行ったりもします。
椎間関節障害は、背骨の後方にある椎間関節が変性して、腰やおしりに痛みが生じます。
下肢痛が出現することもあります。腰をそらす姿勢がつらく、体を動かしたときに強い痛みを感じます。
椎間関節は椎骨と椎骨を連結する左右一対の関節です。加齢などのために変性すると、変形性関節症が生じて痛みが出ます。椎間関節ブロックがよく効きます。
殿皮神経障害は、背骨とおしりの上部の表面を結ぶ殿皮神経が、骨盤を乗り越えるときに骨と筋肉に挟まれてしまい、締め付けられることで、腰痛や下肢痛、しびれが起こる疾患です。
殿皮神経は、背骨とおしりの上部の表面を結ぶ神経で、左右に5~6本ずつあります。
殿皮神経障害は、腰を押すと痛む場所がでたり、仰向けに寝ると痛んだりすることもあります。
また腰を押さえて歩くと痛みが楽になることがあります。神経ブロック注射が有効で、神経をはがす手術を行うこともあります。
新型腰痛として、紹介され、知られるようになりました。
これらの疾患は診断が難しいため、医療機関を受診する必要があります。